KENZAIBU AUSTRALIA PTY LTD
オーストラリア建築・建材市場
建築・建材市場としてのオーストラリアの魅力
住友林業、積水ハウス、大和ハウス、旭化成ホームズ等の大手住宅メーカーが豪州住宅 市場に既に参入しており、日本の建材メーカーも多数進出しています。リンナイ、パロ マは瞬間湯沸かし器市場で大半のシェアを有しています。マキタは最も信頼されて いる工具メーカーとして施工業社者に人気があります。日系住宅メーカー各社の参入理由は各社様々ですが、建築業界全体からの視点から見た場 合以下ポイントが挙げられます。
- オーストラリアは移民政策・出生奨励により現在の人口2690万人(2024年12月)を 2050年には4000万人にする人口増加政策を進めています。この政策により今後も 比較的安定的な経済成長と住宅需要が望めます。現在、年間住宅着工軒戸数は戸建、マンション含め18万戸〜20万戸と軒戸数では日本の約5分の1の市場ですが、戸建の平均床面積は年々縮小しているものの 、231m2と日本の約二倍の規模となっています。
- 戸建て住宅の主たる構造は日本と同様の木造建築、構造材は針葉樹2x3材です。 世界的に見ても構造材に木材を採用している国は日本、北米そしてオーストラリ アだけです。つまり貴社が今まで長年日本で培ってきた、大切な技術、貴重な経 験を生かせる市場です。
- 当地の製造は商品開発が苦手な先が多いです。付加価値商品よりもスタンダード規格商品で成り立っている市場です。製品カテゴリーによっては日本製品が次世代のスタンダードとして業界を牽引しています。
- 市場に参加する製造業者社は製品カテゴリー毎に2社から4社程度と少なく、程良 くシェアを分け合っています。但し消費者向け川下の販売は輸入品も交え競争は 非常に激しいです。
注意点
- 割高な試験・認証費用 / GDP CapitaはUSD56,000と日本のUSD39,000よりも40%ほど高く、個人一人当 りの消費額も日本と比べ高額な為、物価高感があります。
- オーストラリア独自の規格サイズ / 建材製品の規格サイズは日本を含むアジアとは若干違います。
- 支払い遅延。 自転車操業の法人は少なくありません / 手形の支払い方法はありません、売り買い共に指定期日の現金振込払いとなります。
住宅の位置付け
戸建住宅
- 住居目的より資産運用の駒として活用される、投資家に限らず一般住宅購入者も同様の思考。元金の返済は数十年後に家を売却した益で返済。月々の借入の返済は金利のみ。
- 豪州の住宅は7年で2倍の資産価値(7年後には2倍で売れる)になる例が多く、住宅購入者は居住性への出費より販売時期を視野に入れ資産価値上昇への出費(投資)を優先する。
- 住宅供給ボーリュームゾーンの戸建販売を例にとると、住宅デザインのトレンドは洋服のそれと同じ、購入者が欲する流行のデザインが好まれる。
集合住宅
- 投資家による資産運用先。
- 政府は投資家への税金優遇措置として銀行返済より家賃収入が低くなった場合にマイナス分を免税するネガティブギヤリング制度を活用し建築、投資活動を後押しする。
- 地域によるが移民や留学生等の人口増加に対応する受け皿の役割。(シドニー、メルボルンは人口急増によって公共交通機関の能力が一杯となり、新規移民は両都市に2年間住めない。)
住宅カテゴリー
住宅カテゴリーは日本と同じく以下に分類されます、注文か分譲か、そして高層か低層かに分別類されます。ただし賃貸目的で建設される住宅はなく、投資家が住宅購入後に賃貸物件として紹介します。新築住宅は住宅販売業者が購入者に対し7年保証を付保する事が法律で義務付けられており、これに基づき建材・設備納入業者は最低7年保証を要求されます。全ての住宅・建築物は豪州建築法 BCA(Building Code of Australia )によってカテゴリー別・地域別で細かく要求性能が設定されています。
戸建注文住宅(Project homes)
戸建注文住宅(Custom homes)
分譲高層マンション(High rise multi-residential)
日本の様な30−40階の超高層は今のところあまりありません、もっとも最も多いのは7−15階程度のRC造です。
分譲戸建住宅(House and land packages)
分譲低層住宅(Townhouse)
従来一軒家だった土地に長屋形式で複数の住宅を建てるカテゴリー。分譲戸建住宅同様に流行のデザイントレンドを取り入れています。地域によりますが、古い区画は500-1000m2と大きく、Townhouse分譲用途で土地を分割することで、一戸当たりの購入単価が下がり土地が活性化されます。
分譲低層住宅(Duplex)
移動式工場生産住居 (Transportable home)
分譲戸建住宅の標準仕様
基礎
EPS (Expanded Polythene)+コンクリートフラット仕上げ。
構造材
防蟻処理済み2x4 ラジアータパイン(松)
構造材
I - Joist、LVL
ブリックベニアー
窓 ・アルミサッシ
単一ガラス構造
外装
レンガは人気は根強い、二階部はファイバーセメント等の軽量外壁材。
内装仕上げ
壁、天井共にプラスターボードにペイント仕上げ。
1階床
タイル、フローリング
リビングエリアはMDFプリントフローリング、バスルームはタイル
二階床
カーペット
キッチン
キッチン扉はMDF+塩ビ圧着仕上げ、キッチントップは人口大理石、スプラシュバックはガラス
シャワースペース
シャワートイレは非標準
バスルーム 浴槽
不均衡な住宅供給問題
State of the Housing System 2024 issued by Australia Government, The National Housing Supply and Affordability Council
このレポートは連邦政府の財務省内に昨年2023年11⽉にタスクフォースとして設⽴されたThe National Housing Supply and Affordability Council(NHSAC)が2024年6⽉に財務⼤⾂向け⽤意したレポートです。ここでは豪州の住宅市場の成り⽴ち、経済発展、移⺠政策の裏側で広がる不均衡な住宅供給の現状を社会問題と指摘し、問題解決に向けての⽅針を打ちあげています。各Chapterは2021年の国勢調査と民間企業の調査レポートよりデータを入手し分かりやすく纏められており、豪州が直面する住宅問題全般を理解するのに良く纏められた資料となっています。
住宅業界は市場参加者が小規模、旧態依然の供給体制である事から他の業界に比べ生産性が低い事が指摘され、⾰新的な新たな住宅供給モデルが望まれている事を言及、工場生産となる住宅工業化が住宅供給問題の解決に繋がると期待しています。政府は先住民族、低所得層向けの住宅が最も不足している現状に対し、各種補助金を用意し、2024年より年間4万戸を継続的に6年間政府資金で提供する政策で対応する。